2020.11.28

ファイナンシャルプランナーの川崎です。

それでは、今日は

「あなたの家計のチェックポイント・生命保険編」
をお送りします。

前回まで、組んでも大丈夫な住宅ローンの返済比率、そして家計の考え方とオートローンの見直しのお話をしましたが、実は家計の中で、「住宅ローン」の次に高い買い物は、実は「生命保険」なんです。
平成21年の世帯平均年間払込保険料は、45.4万円。月額にすると、¥37,800です。(出所 生命保険文化センター)
さらに5~6年で終わるオートローンと違い、生命保険の場合には、ほとんどの方が20年以上加入していますので、支払額を累計しますと大変な金額を保険会社に支払っている事になります。

住宅ローンの次に家計を圧迫する買い物ですね。しかも、マイホームで住宅ローンを組む場合、強制的に「団体信用生命保険」に入らされます。
金融機関の担当者は、「生命保険の費用は当行で負担します」と説明しますが、実際には、ちゃんと金利の中に入っていますので毎月きちんと生命保険料を支払っているのと同じです。

ということは、家を建てる前と後では当然の事ながら、必要な保障額は減ってもいいわけです。でもほとんどの方は生命保険はそのままにして住宅ローンを始めているのが実態です。(恥ずかしながら、私もそうでした。)

それではどんな見直しが必要か具体的に考えてみましょう。

まずは、次の数字をご覧になってください。

契約している、一世帯あたりの死亡保険金額(平均)   4,141万円
実際に生命保険会社が支払った1件あたりの死亡保険金額  176万円
(共に平成13年、出所 生命保険文化センター)

4,141万円の死亡保険金額を保険料ベースに換算すると、少なく見積もっても1,500万円前後保険料を支払っている計算となります。

つまり、1500万円の保険を掛けて、200万円弱のお金を受け取る。

実に1300万円ものお金を生命保険だけで損失している計算になります。
「でも、それが保険だからしょうがないかな・・・・」
確かにその通りです。しかし、1300万円損をしているという数字も事実です。

だからこそ、普段出来ない生命保険の見直しを、「住宅ローン」という人生の中で一番の買い物をする機会にこそしなければならないのです。

生命保険の元々の目的は、「経済的なマイナスを辛うじてゼロで留める」です。

この保険の目的を頭に入れておきながら、家族それぞれの見直しのポイントについて要点をお話しします。

○まずは、専業主婦の保険。

専業主婦は、外部からの収入がありませんので、万が一の事があったとしても、少なくとも「経済的に困ること」はありません。
しかし、専業主婦が「病気等」で「入院」すると、「入院費用」という経済的な打撃が起こりますので、「医療保険」のみあればよい事になります。

○次に子供の保険。

そもそも子供の保険には、2つの目的があります。一つ目は、親が万一の時にそれ以降「保険料」を支払うことなく「給付金」や「満期金」などを子供がもらえる、という保障の目的です。
つまりは、明らかに「親の死亡」を保障しているわけです。

でしたら、子供保険の様に保険料が高い保障を掛けずに、そもそも親が加入している保険の死亡保障で十分?ではないでしょうか。

二つ目の目的は、「貯蓄」です。

子供の保険でお金を貯める、ということですね。でも昨今、元本割れを起こしていないものを探すのに苦労する時代です。
早速計算してみてください。
かく言う私も、10数年前に長男が生まれた時に貯金のつもりで子供保険に思わず入ってしまいました。

(当時は、元本割れしない計算でしたが・・・・・・今では、完全に元本割れです。)

ということで、子供保険に関しましてはすぐに計算してみてください。元本割れをおこしている「子供の保険」は早急に見直しの必要があります。

○夫の保険

住宅ローンを使ってマイホームを作った場合、主債務者である夫には「団体信用生命保険」への加入が義務付けられています。
つまり夫に万が一のこと(死亡、重度障害)があった場合、住宅ローンがチャラになるわけです。
したがって、マイホームを作る前に比べて保障額は、減っても良いわけですよね。

勤務先の福利厚生、社会保険加入の有無などによって条件は異なりますが、マイホームを作った後の、夫の必要死亡保障額は、

「夫」から見て「扶養家族」一人当たりに1000万円、

専業主婦の妻と子供2人が残されたとして、

1000万円×3人=3000万円

といったところでしょうか?

そして何より、重要視しなければならないのが、「医療保険」です。
住宅ローンで強制加入する「団体信用生命保険」も各金融機関共、医療保険はオプション設定になっています。
保険料が、金利に上乗せされるタイプのため貸出金利がアップしてしまいますので、住宅ローンの担当者もあまり積極的には薦めず、さらっと説明するくらいのようです。

つまり、夫に関しては「病気等で入院」の方が、リスクです。

1泊2日から保障されるのはもちろん、長期入院になればなるほどリスクは大きくなりますので、1回の入院で最低180日、出来れば360日の保障は必要だと思います。

○共働き夫婦の場合

死亡保障に関しては、少なくて構いません。
各金融機関共、ご主人若しくは奥さんに万が一のことがあった場合、それぞれの分の住宅ローンは、やはりチャラになるからです。

特に住宅支援機構の「フラット35」では、連帯債務でローンを組んだ場合、夫婦どちらかに万が一のことがあった場合、住宅ローンは、全額完済されます。(デュエットタイプ)

但し、夫に先立たれてしまう奥さんのリスクを考え、子供の人数×1000万円位の死亡保障を考えていても良いかと思います。

奥さんの年収等から考えてみてください。

それでは具体的には、どう見直しすればよいのか・・・という問題ですが、

じゃあ、即解約か?

と思ってしまいますが、保険の場合、解約は不利になることが多く「解約」よりも「有利に」「見直し」するほうがお得です。

ここから先、具体的な方法につきましては次回にさせて頂きます。